相続権の放棄と関連手続きの解説

# 相続権の放棄とその請求先

相続権は、故人が残した財産を引き継ぐ権利ですが、時にはこの権利を放棄する方が適切な判断となる場合もあります。特に負債が多い場合や相続手続きが煩雑な場合、相続権の放棄を選択することが考えられます。このページでは、相続権の放棄について詳しく解説し、それに関連する「相続権の廃除」や「相続の欠格事由」についても触れます。

## 相続権の放棄

相続権の放棄は、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に対して申し立てを行う必要があります。放棄した場合、当該相続人は最初から相続人でなかったことになり、相続財産との関連は一切消滅します。この手続きは遺産分割協議の前に行うことが求められるため、注意が必要です。

### 請求先

相続権の放棄の請求先は、家庭裁判所となります。申立ての際には、必要書類(戸籍謄本や申立書など)を用意して提出します。不明な点がある場合は、弁護士、司法書士に相談することをお勧めします。

## 相続権の廃除

相続権の廃除とは、兄弟姉妹以外の推定相続人に対し被相続人の意思に基づくか、故人の遺言によって相続権を失わせることを言います。これは、被相続人若しくは故人に対して推定相続人若しくは相続人の非行があるときに相続をさせたくない被相続人の請求若しくは故人の遺言を遺言執行人によって家庭裁判所に請求する制度です。

### 要件と効果

相続権の廃除には、以下の要件が求められます。
1. 廃除の対象が兄弟姉妹以外の推定相続人であること。
2. 推定相続人が被相続人に対して虐待、重大な侮辱、著しい非行があったこと。

廃除が認められると、その相続人は遺産を相続する権利を完全に失うことになります。

### 請求先

廃除の請求先は、家庭裁判所となり、被相続人の意思に基づいて被相続人が行います。遺言による廃除の場合は相続人や関係者が申し立てを行います。

## 相続の欠格事由

相続欠格とは、法律によって相続権が法律上当然に失われる事由を指します。民法891条1号~5号に列挙されています。(相続人の欠格事由)
第八百九十一条 次に掲げる者は、相続人となることができない。
一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

### 例外
告訴、告発をしなくても相続欠格にあたらない者が2点。上記条文の下線太文字部分。
①告訴、告発すべきものに是非の弁別がないとき。
②殺害者が事故の配偶者又は直系血族のとき


## まとめ

相続には選択肢がいくつか存在します。相続権の放棄、廃除、欠格といった法的手続きには、慎重な判断が求められます。疑問がある場合や具体的な手続きについては、専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。相続についての正しい知識を持つことで、自分自身や家族にとって最良の選択をする役立ちます。 
尚、紛争が発生してしまうと弁護士しか対応が出来なくなります。