・法定相続人の定義と役割
法定相続人とは、亡くなった方の相続財産を受け取る権利を有する人々を指します。日本の民法では、配偶者、子供、直系尊属、兄弟姉妹が法定相続人に当たります。法定相続人の特定は、相続手続きにおいて重要です。特に、「終わっていなかった相続」の場合、法定相続人の把握がトラブルを回避する鍵となります。
・相続人を特定するための手続き
相続人を特定するには、戸籍謄本や住民票などの公式な書類が必要です。まず、被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本を収集し、法定相続人を確認します。また、数次相続のケースでは、前の相続手続きに関連する情報も収集することが求められます。これにより、全ての相続人を正確に把握できるため、後のトラブル(法定相続人の揃っていない状態でした無効な遺産分割協議書の作成)を防ぐことができます。
・婚姻の解消が相続に与える影響
婚姻の解消によって希薄になっていた関係だと、相続の手続きに複雑さをもたらします。婚姻を解消した元配偶者は片方の配偶者の相続人ではなくなりますが、夫婦だったときの子(嫡出子)には相続権がありますので、子が持つ相続する権利を正しく理解しておく必要があります。特に、遺留分侵害額請求が予想されるケースでは、相続権と遺留分、相続後の特別代理人の有無など、どのように対応すべきかを十分に理解しておく必要があります。(*特別な縁故者、遺言による遺贈、特別代理人)
亡くなった方から見た身分関係で判断。
亡くなった方(被相続人)に配偶者がいれば常に相続人。
配偶者の他、被相続人の子(子供が亡くなっていたときは孫(相続が発生する前に子が亡くなっており、その子に子があるとき=孫。孫も亡くなっていれば曾孫子が代襲相続人となることに注意)直系の卑属がいなければ、直系尊属(父母が亡くなっているときは祖父母。祖父母も亡くなっていれば曾祖父母)
直系の卑属尊属も無いときは兄弟姉妹。(兄弟姉妹が亡くなっているときは兄弟姉妹の子が一代(甥、姪)に限り代襲相続できる)
配偶者も直系の卑属尊属も兄弟姉妹もないときは国庫に帰属(国のものになります:特別の寄与・特別寄与料の請求1050条)
配偶者と子→ 配偶者が1/2 子が1/2 (子が二人いれば、子一人あたり1/4ということ)(昭和55年改正)
配偶者と直系尊属→ 配偶者2/3 尊属が1/3 (父母がいればその世代に1/3。父母が無く祖父母になるときはその二親等世代(しんとう)に 1/3。 )
配偶者と兄弟姉妹→ 配偶者3/4 兄弟姉妹1/4(父母が異なる半血の者は他の兄弟姉妹の1/2)
⬆️ということは、子の無い夫婦のどちらかが亡くなり、その無くなった方に兄弟姉妹がいると、残された配偶者と長年交流が無く且つ疎遠にしていたとしても相続権が発生するので遺産分割の協議をしなくてはならなくなるということです。(*廃除、相続欠格者、相続放棄、代襲相続)
相続に係る骨肉の争いというものを耳にしますが、遺言書がとても重要になってきます。
遺言をすることで、遺留分のない兄弟姉妹については、相続問題がなくなります。
半面、遺言書がないと兄弟姉妹に代襲相続が発生した際に相続関係が複雑かつ、交流が薄かったということから、紛争の発生が予想されます。画面左にある小窓に遺言や遺留分といった項目がありますので、詳しくはそちらをご覧下さい|ω・)?
代襲相続の仕組みを理解する |
・代襲相続の概要
代襲相続とは、(相続人が被相続人よりも先に死亡)に、その法定相続人の子と子や直系尊属がなかった時の兄弟姉妹に係る相続権を引き継ぐ仕組みを指します。この仕組みは、法定された相続関係にある者の生活の安定や期待の公平性を保つために設けられています。特に、終わっていなかった相続の状況下(再転相続(相続人の熟慮期間中に死亡)、数次相続(相続人に相続財産の承継が終わらないうちに死亡))では、相続の権利が移りますので注意が必要です。
・代襲相続の条件
代襲相続が適用されるためには、いくつかの条件があります。法定相続人が被相続人よりも先に死去していること、そしてその法定相続人に子供がいることが基本です。例外としては兄弟姉妹ですが、こちらは代襲回数に制限があります。数次相続のケースでも適用されることがあるため、代襲の要件は正確に把握しておくことが必要です。
・代襲相続と遺留分侵害額請求権
代襲相続が発生すると、相続財産の分配に影響を及ぼします。その結果、遺留分侵害額請求の発生が予想されます。もし相続権者が疎外された遺産分割協議が行われたり、単純承認した相続人と受遺者があったりしたときは、既に承継した相続人に対し遺留分侵害額請求をすることになります。(*1050条の特別寄与料を請求するときは、公示送達されています)網羅的に法的な仕組みを把握する必要がありますが、知っておくことでトラブルを未然に防ぐことができますので、正確な理解に努めましょう。
相続手続きで知っておくべき注意点 |
・相続人の把握
相続手続きにおいて、相続人の特定は最も基本的かつ重要なステップです。より法定相続関係図を作成するにも相続人が誰であるかをしっかり把握しておく必要があります。終わっていなかった相続(数次相続)の場合、新たな相続人が発生することもあるため、細心の注意が必要です。
・数次相続が引き起こす問題
数次相続では、過去の相続関係が現在の相続手続きに影響を与えます。相続人の死亡や、婚姻の解消によって変化する相続する権利は、非常に複雑です。相続する権利の発生した時期、相続人の関係性を正確に理解し、必要に応じて専門家の助けを借りることが重要です。(紛争性があるときは弁護士でないと対応してはいけません。(弁護士法72条:弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。)
・遺留分侵害とその対策
これまで、相続手続きにおける、遺留分侵害等について見てきましたが、権利が侵害があるとトラブルの発生につながりかねません。実際の紛争が発生する前に、適切な遺言書の作成や相続人同士での正しい法律の知識を共有することが大切です。また、トラブルの発生に備えるため、事前の法律相談(予防法務)もおすすめします。