生活保護制度における扶養義務者と扶養照会
「扶養義務者」とは、要保護者(生活に困っている人)の配偶者(旦那さんや奥さん)、直系血族(祖父祖母、父母、要保護者の息子、娘)と兄弟姉妹、三親等内の親族のことを言います。
困っている人の近しい親族の方は、助ける義務があるとされていますので、行政から、そのような扶養義務者に援助をすることができますか?と聞く必要があります。
扶養義務者に対する直接の照会を「扶養の直接照会」と言います。
扶養義務者がいたときには、義務者に扶養する能力があるか調べる必要が出てきます。
要保護者からの聞き取り等によって扶養の可能性の調査をする事を 「可能性調査」 と言います。
可能性調査の結果、「扶養義務履行が期待できない者」と判断をされても、生活保持義務関係(夫婦や親の未成熟の子に対する義務関係のこと)にある場合は関係機関等に対し、関係先調査がなされます。
要保護者と特別な関係にあって、扶養能力があると推定される人を、 「重点的扶養能力調査対象者」として、実地や書面で調査をする事もあります。
生活に困っていても、親族に知られたくないと躊躇される方が多く、親族からの援助を求めたことで、結果的に自立を阻害してしまうことも考えられることから、特別の事情があるときは扶養照会が不要とされることがありますので、親族との交流状況等、御事情を伺うことで、扶養照会の有無を検討することが可能です。
扶養義務履行が期待できない者の判断基準
・長期入院患者
・働いていない人
・未成年者
・70歳以上の高齢者など。
・既に要保護者に金銭等の貸付を繰り返している人
・相続を巡って対立している事情
・関係不良により縁が切られている
・虐待等の経緯がある
・一定期間の交流が無い(最近では10年を目安)