202302

健康起因事故と制約の話

https://youtu.be/ce5jONgacXQ

 

一月の大雪、大変お疲れさまでした。

特にフルスタッドレス車両には、山沿い方面への配送をお願いしていました。

タイヤチェーンがあるからと言っても、脱着作業も容易ではありません。

 

皆に均等に配車という事はしていませんでしたので、特に山間方面を担当してくれた方々、

ありがとうございました。

 

1/27日にフルトレーラー車が民家に突っ込むという事故がニュースになっていました。

これを契機になお一層、我々を取り巻く環境が厳しくなっていくのかなと思いますが、

幹線道尾沿いにお住まいの方、利用される方からすると、一刻も早く、類似の事故が起きないように法整備をして欲しいと考えられるでしょうから、建設的で、より成熟した車社会に近づく契機になったのかなと。

お怪我をされた方には、お気の毒ですがハンドルを握る我々は、いつ同様の事故を起こすかもしれないという危機感を持たなければなりません。

(看過することは責任の放棄になるのではないかという考え方)

 

良いお話が一点。

弊社の運賃は、比較的高めに設定されているお客様が多いです。

客離れという懸念もありますが、一時受注回数の減ったエンドユーザー様が商社に訴えたのでしょうね。

当社に注文が戻ってきている事例がありました。

ドライバーさんから聞いた話ですが、他のローリーの荷役作業は喧しく、特に早朝での荷卸しでは近隣住民への申し訳ない気持ちから、当社へ配送依頼をするよう注文を付けた。ということでした。

『ただ荷物を運ぶ』に付加された当社が配送することの価値を実感できるお話でした。

これも、ひとえに現場で直接対応されている皆さんの頑張りのお陰です。

 

お店を開いている人は、地域住民がお客さんになるわけですから、早朝での作業音には敏感にならざるを得ません。

一見、当たり前のことのように聞こえても、現場ではふとした瞬間に自分本位に物事をとらえ、自分に有利なように捉えることが往々にしてあります。

その一方で不快な気持ちになっている人がいるかもしれないという可能性には目をつぶってしまう事が十分にあり得ますので注意が必要です。

 

選択(原因)と結果の因果関係については、再三繰り返してお話をしていますが、気使いの結果が自分の仕事に帰ってくる良い例だと思います。

これからも、同様に、皆さんの負担が増えはしますが、価値ある仕事、人に喜ばれ、感謝される仕事、報われのある仕事をしているという心持ちで取り組んでもらえたらと思います。

 

さて先述の暴走トレーラーの件ですが、本人の過労によるものか、健康に起因するものなのか、その両方か?時間が経つほどに詳細が分かってくると思いますが、我々貨物自動車を扱う者からすると対岸の火事とは言えないお話です。

国土交通省も健康起因事故を予防する目的で、様々な講習を行っています。

最近では、

・国土交通省におけるプロドライバーの健康起因事故防止対策について

・プロドライバーにおける睡眠時無呼吸症候群スクリーニングの重要性

・健康起因事故ゼロを目指して

・健康管理の変遷と睡眠時無呼吸症候群への取り組み

・ヘルシーワークプレイスを業界の当たり前に・・・

といったセミナーが開催されます。2/13

 

これらのセミナー等は働き方改革の根本が、労働者の健康を慮ってのものであると掲げていますので、対策が不十分である、他者への侵害が発生しているとなれば変化(制約、制限)を余儀なくされるのは当然の流れです。

幸いにして世論を動かすほどの大事故といった報道にはなっていませんが、「昔はよかった」と思えるような制約がどんどん増えていきます。

巡り巡って、将来的に著しい格差社会にまで発展しかねません。

 

そこで今回は制約について一考していきたいと思います。

 

長尾英彦という人が、『校則による「生徒の自由」の制約』という論説を出しています。

我々は大人ですけど、日常生活を送るうえで法律による制限や道徳による規範といったものがかかります。

法律による制限や制約、広く一般的な社会常識といった道徳感情が私たちの行動に干渉しています。

この法律おかしくね?だけだと裁判は出来ません。

個別具体的な事柄が発生して、訴える利益(原告適格)があって初めて争うことが出来ます。

結果的に最高裁判所まで争う事もありますから、行動を制限・制約をする事には国も慎重にならざるをえません。

そしてこの論説では、成年者ではなく未成年者の校則による制約について論じています。

未成熟な生徒の学校と私生活における規制、校則に根拠のある強制処分(退学)

髪型の自由と丸刈り強制(熊本丸刈り訴訟判決・熊地昭60.11.13判1174号48頁)

原告請求棄却

21条:表現の自由△ 

13条:個人の尊厳と幸福追求権〇

標準服着用義務確認請求(京都地昭61.7.10判地方自治31号50頁)

原告適格無→却下

高知県立大方商高バイク免許禁止事件訴訟判決→請求棄却(13条自由:違法認めがたし)

鎌形学園バイク退学勧告訴訟判決→請求棄却(3無運動の合理性・違法無:転借者事故隠匿)

修徳学園バイク退学訴訟判決→違法(改善余地、やむを得ずと言えず裁量範囲を逸脱)

修徳学園パーマ退学訴訟判決→棄却

(厳重な警告、繰り返しの校則違反、違反発覚時の態度や対応)

喫煙退学訴訟判決→請求棄却 (法律による喫煙禁止、阻止しなかった監護者の責任)

 

バイク通学のみだったら・・・・

      ↓   

バイク事故は未成年者によるものが多い

 

 

規制の根拠は

①     保護の観点  (自身に不利益を招く恐れ)≠例外:人格的自律を回復不可能な程

                              永続的に害するとき

                          発達権の保障に不可欠な干渉

回復不可能な失敗の阻止 

                                                    

②     侵害原理   (例外的な局面・校則になじまない)

③     社会道徳の維持(強制になじまない)

 

自己加害が無くても、道徳的堕落の防止

華美、或いは常軌を逸したような服装、髪型→社会的評価の低下させることもある

社会的評価の低下が個人に限られず集団社会全体の評価低下に結びつく恐れ

集団内の他者の動揺等の影響

 

 

校則→生徒が年少者→判断能力不十分→不都合な結果の予防とは、

《社会的に回復不可能な失敗の阻止》にあります。(スシローぺろぺろ事件)

✖子への傍観・・危険に陥ることを黙って傍観すること

✖会社として働いている従業員達への傍観(成年者ではあるけれど/報償原則含む)

 

成人の場合、失敗の責任は本人が負うのが当然としつつも、報償責任の原則や被害者を

救済するためにも使用者責任が問われます。

 

今後、制約がかかるといったフレーズが続くかもしれませんが、選択した結果の最終的な

責任を負うのは誰かといった論調のときには、このお話を思い出してください。

 

労働者の健康問題 = 働かせすぎ(過労死等) = 労働時間の制約(働き方改革)

 

健康起因事故があっての世論・改革       = 被害者目線で考える必要

                       = 結果的に自分の家族を守ること 

 

に繋がります。

 

繁忙期も時じきに終わります。

気の緩んだ瞬間に事故が起きてしまうことも多々あります。

引き続き安全運転でお願いします。